電気工作物の保安(経済産業省)
電気工作物の保安
電気工作物とは発電、蓄電、変電、送電、配電又は電気の使用のために設置する工作物(機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路等)をいい、事業用電気工作物、一般用電気工作物があります。
電気工作物の区分
小規模発電設備とは(電気事業法第38条第1項、電気事業法施行規則第48条第1項及び第2項)
電圧600V以下の発電用の電気工作物であって、以下①から⑥に掲げるもの
① 太陽電池発電設備であって出力50kW未満のもの
② 風力発電設備であって出力20kW未満のもの
③ 次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力20kW未満のもの
a. 最大使用水量が毎秒1m³未満のもの(ダムを伴うものを除く。)
b. 特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの
④ 内燃力※を原動力とする火力発電設備であって出力10kW未満のもの
⑤ 次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力10kW未満のもの
a. 固体高分子型又は固体酸化物型の燃料電池発電設備であって、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が0.1MPa(液体燃料を通ずる部分にあっては、1.0MPa)未満のもの
b. 道路運送車両法第二条第二項に規定する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)に設置される燃料電池発電設備(当該自動車の動力源として用いる電気を発電するものであって、圧縮水素ガスを燃料とするものに限る。)であって、道路運送車両の保安基準第十七条第一項及び第十七条の二第五項の基準に適合するもの
⑥ 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第七十三条の二第一項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力10kW未満のもの
ただし、同一の構内で①から⑥の小規模発電設備が電気的に接続された場合の出力合計が50kW以上となった場合は、小規模発電設備ではありません。
なお、同一種類の小規模発電設備が同一構内に複数ある場合においては、種類毎に合算したその種類の上限値(例えば④の内燃力発電設備であれば10kW)では判断せず、個別の小規模発電設備の合算値が50kWの上限値以上であるかどうかで判断します。
※「内燃力」とは、シリンダーとピストンを有しその中で燃料を燃焼させることにより発生する往復運動を回転運動にして動力を取り出すタイプの原動機のことを指します。
また、小規模発電設備のうち、出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備及び出力20kW未満の風力発電設備については小規模事業用電気工作物となります。
事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く。)の保安規制
対象とする電気工作物は、発電所(火力・水力・燃料電池・太陽電池・風力)、蓄電所、変電所、送電線路、配電線路、需要設備です。
電気工作物設置者(電力会社等) | 経済産業省 | |
工事・製造の段階 | 技術基準適合維持義務(第39条) 電力会社等が事業用電気工作物(発電所等)を設置する場合は、一定の技術基準に適合するように維持しなければなりません。 |
技術基準適合命令(第40条) 経済産業大臣は、事業用電気工作物(発電所等)が技術基準に適合してない場合は、修理や使用の一時停止などを命じることができます。 |
保安規程作成・届出・遵守義務(第42条) 実態に即した保安対策を行う場合、電力会社等は保安規程を定めて、経済産業大臣に届出をしなければなりません。また、設置者と従業員はその保安規程を遵守しなければなりません。 |
保安規程変更命令(第42条) 経済産業大臣は、保安規程があらゆる情勢の変化によって保安を確保する上で十分でなくなった場合、変更を命じることができます。 |
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主任技術者選任義務・職務誠実義務(第43条) 電力会社等が事業用電気工作物(発電所等)を設置する場合は、保安の監督を行う主任技術者を置かなければなりません。 また、選ばれた主任技術者には適切に業務を行ってもらうための誠実義務を課しています。 |
主任技術者免状返納命令(第44条) 経済産業大臣は、主任技術者免状の交付を受けている者が法律等の規定に違反した場合には、免状の返納を命じることができます。 |
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技術基準の適合性確認(第48条の2) 特殊電気工作物(風力発電所)について、工事計画届出をする場合は 登録適合性確認機関の適合性確認を受けなければなりません。 |
適合性確認の実施(第48条の2) 登録適合性確認機関は、特殊電気工作物について、適合性確認を行い、当該電気工作物が技術基準に適合しているときは、その旨を記載した証明書を発行します。 |
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工事計画の届出(第48条) 公共の安全確保上、特に重要な事業用電気工作物を設置したり変更したりする場合は、経済産業大臣に事前に工事計画等を届け出なければなりません。 |
工事計画変更命令(第48条) 経済産業大臣は、工事の計画が基準に適合しない場合、工事の計画の変更や廃止を求めることができます。 |
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使用前自主検査実施義務(第51条) 電力会社等は、電気工作物の使用を開始する前に自主検査を行い、基準に適合していることを確認し、その記録を保存しなければなりません。 |
使用前安全管理審査実施(第51条) 登録安全管理審査機関は、電力会社等が設備を使用する前に行った自主検査の実施に係る体制について審査しています。 |
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使用前自己確認実施義務(第51条の2) 電力会社等は、電気工作物の使用を開始する前に自己確認を行い、基準に適合していることを確認し、その結果を経済産業大臣に届出なければなりません。 |
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溶接自主検査実施義務(第52条) 電力会社等は、火力発電所等で使用されるボイラーなどの溶接部分について、基準に適合していることを確認し、その記録を保存しなければなりません。 |
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自家用電気工作物(500kW未満の需要設備)については、電気工事士法の対象とし、工事の段階での安全を確保(電気工事士法第5条) | ||
維持・運用の段階 | 技術基準適合維持義務(第39条) 電力会社等が事業用電気工作物(発電所等)を設置する場合は、一定の技術基準に適合するように維持しなければなりません。 |
技術基準適合命令(第40条) 経済産業大臣は、事業用電気工作物(発電所等)が技術基準に適合していない場合は修理や使用の一時停止などを命じることができます。 |
保安規程作成・届出・遵守義務(第42条) 実態に即した保安対策を行う場合、電力会社等は保安規程を定めて、経済産業大臣に届出をしなければなりません。 また、設置者と従業員はその保安規程を遵守しなければなりません。 |
保安規程変更命令(第42条) 経済産業大臣は、保安規程があらゆる情勢の変化によって保安を確保する上で十分でなくなった場合、変更を命じることができます。 |
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主任技術者選任義務・職務誠実義務(第43条) 電力会社等が事業用電気工作物(火力発電所等)を設置する場合は、保安の監督を行う主任技術者を置かなければなりません。 また、選ばれた主任技術者には適切に業務を行ってもらうための誠実義務を課しています。 |
主任技術者免状返納命令(第44条) 経済産業大臣は、主任技術者免状の交付を受けている者が法律等の規定に違反した場合には、免状の返納を命じることができます。 |
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自家用電気工作物使用開始届出(第53条) 経済産業大臣が保安の監督を適確に実施するため、自家用電気工作物を設置する者は、自家用電気工作物を使用する場合に使用状態について届出しなければなりません。 |
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定期自主検査実施義務(第55条) 電力会社等は、火力発電所等で使用されるタービンなど損傷、腐食の可能性が高いものについては、検査を行い、その検査結果を記録しなければなりません。 |
定期安全管理審査実施(第55条) 登録安全管理審査機関は、電力会社等が行った定期自主検査の実施に係る体制について審査を行っています。 |
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報告義務(第106条) 電気事業者や自家用電気工作物を設置する者等は、経済産業大臣から業務内容等の提出を求められたら報告しなければなりません。 |
立入検査(第107条) 経済産業大臣は、電気工作物の設置者(電力会社等)に対して、自主保安体制が十分機能しているかを確認するため立入検査を実施しています。 また、問題があった場合には改善の指導等を行います。 |
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自家用電気工作物(500kW未満の需要設備に限る。)については、電気工事士法の対象とし、工事の段階での安全を確保(電気工事士法第5条) 電気工事士には電気事業法の技術基準適合義務が課されており、違反した場合には経済産業大臣は免状の返納を命じることができます。 |
小規模事業用電気工作物の保安規制
対象とする電気工作物は、小規模発電設備のうち、出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備と出力20kW未満の風力発電設備です。
電気工作物設置者 | 経済産業省 | |
工事・製造の段階 | 電気工事士法の対象とし、工事の段階での安全を確保(電気工事士法第5条) 電気工事士には電気事業法の技術基準適合義務が課されており、違反した場合には経済産業大臣は免状の返納を命じることができます。 |
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技術基準適合維持義務(第39条) 小規模事業用電気工作物を設置する場合は、一定の技術基準に適合するように維持しなければなりません。 |
技術基準適合命令(第40条) 経済産業大臣は、小規模事業用電気工作物が技術基準に適合していない場合は修理や使用の一時停止などを命じることができます。 |
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基礎情報の届出(第46条) 小規模事業用電気工作物の設置者は、電気工作物の使用を開始する前に、経済産業省令で定める事項を記載した書類を経済産業大臣に届け出なければなりません。 |
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使用前自己確認実施義務(第51条の2) 小規模事業用電気工作物の設置者は、電気工作物の使用を開始する前に自己確認を行い、基準に適合していることを確認し、その結果を経済産業大臣に届出なければなりません。 |
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維持・運用の段階 | 技術基準適合維持義務(第39条) 小規模事業用電気工作物を設置する場合は、一定の技術基準に適合するように維持しなければなりません。 |
技術基準適合命令(第40条) 経済産業大臣は、小規模事業用電気工作物が技術基準に適合していない場合は修理や使用の一時停止などを命じることができます。 |
基礎情報の変更届出(第46条) 小規模事業用電気工作物の設置者は、使用開始の際に届け出た事項に変更が生じた場合は、その旨を経済産業大臣に届け出なければなりません。 |
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報告義務(第106条) 小規模事業用電気工作物を設置する者等は、経済産業大臣から業務内容等の提出を求められたら報告しなければなりません。 |
立入検査(第107条) 経済産業大臣は、電気工作物の設置者に対して、自主保安体制が十分機能しているかを確認するため立入検査を実施しています。 また、問題があった場合には改善の指導等を行います。 |
一般用電気工作物の保安規制
所有者又は占有者(一般家庭等) | 経済産業省 | |
工事・製造の段階 | 電気工事士法の対象とし、工事の段階での安全を確保(電気工事士法第5条) 電気工事士には電気事業法の技術基準適合義務が課されており、違反した場合には経済産業大臣は免状の返納を命じることができます。 |
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維持・運用の段階 | 技術基準適合命令(第56条) 経済産業大臣は、一般用電気工作物が基準に適合していない場合は修理や改造などを命じることができます。 |
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調査の義務(第57条) 電力会社など電気を一般用電気工作物に供給する者は、一般用電気工作物が基準に適合しているかどうかを調査しなければなりません。(※) |
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報告義務(第106条) 小規模発電設備の所有者又は占有者は、経済産業大臣から必要な事項の提出を求められたら報告しなければなりません。 |
立入検査(第107条) 経済産業大臣は、一般用電気工作物の所有者又は占有者に対して、一般用電気工作物の立入検査を実施することができます。 また、問題があった場合には改善の指導等を行います。 |
一般用電気工作物の調査
電気事業法では、電線路維持運用者(電力会社等)に対して、その電線路と直接に電気的に接続する一般用電気工作物(小規模発電設備を除く。)に係る技術基準の適合性について調査し、技術基準に適合しない場合、とるべき措置等を所有者、占有者に通知することを義務付けています。
この一般用電気工作物の調査は、電力会社の他、電力会社から委託を受けた「登録調査機関(電気事業法第57条の2第1項に基づき経済産業大臣の登録を受けた者)」が行います。
① 調査の種類
〇竣工調査 一般用電気工作物が設置された時及び変更の工事が完了した時に行う。
〇定期調査 一般需要家においては4年に1回以上実施
特定需要家(小中学校、病院等)については毎年1回以上実施
② 調査の内容
〇絶縁抵抗計又は漏れ電流計による、屋内配線の絶縁抵抗等の測定及び目視点検
〇電気安全のパンフレットを各需要家に配布し、これを用いて電気安全に関する幅広い啓蒙を実施