太陽光発電のPR値とは?計算方法やメリット
目次
太陽光発電の「PR値」とは?
PR値とはシステム出力係数(performance ratio)の頭文字を取ったもので、太陽光発電においては、設備の発電量を評価する際の指標となります。システム出力係数を具体的に説明すると、「日射エネルギーが理想的な状態で、ロスなく電気に転換されたと考えた場合の仮想電力量に対して、実施にどの程度の発電量が得られたかを示す比率」です。つまり、この値が100%に近いほど、理想的に発電できているということを意味します。
PR値の計算方法
次にPR値の計算方法と、実際にRR値がどのような場面で利用されるかについて解説します。
計算式
- PR値を使う場面
- それぞれ順番に解説します。
計算式
PR値の計算式は下記のとおりです。
- PR値:システム出力係数
- EPCO:パワーコンディショナ出力電力量
- HA:アレイ面日射量
- PAS:標準アレイ太陽電池出力
- GS:標準試験条件における日射強度
PR値(システム出力係数)は、パワーコンディショナ出力電力量と標準試験条件における日射強度を掛けた数値を、アレイ面日射量と標準アレイ太陽電池出力を掛けた数値で割ったものです。
- パワーコンディショナ出力電力量:太陽電池の最大出力電力
- 標準試験条件における日射強度:耐用の強さを表す指標
- アレイ面日射量:複数枚接合した太陽電池パネルの接地面の単位面積で、1アレイでどのくらいの日射量があるかを表したもの
- 標準アレイ太陽電池出力:アレイ1㎡の出力量
PR値の具体例
実際にPR値の計算をしてみましょう。仮に以下のような数値の太陽光発電があったとします。
- パワーコンディショナ出力電力量:90000kwh
- 日射強度:1kw/㎡
- アレイ面日射量:105kwh/㎡
- 標準アレイ太陽電池出力:900kwp
計算式に当てはめてみましょう。
(90000kwh×1kw/㎡)÷(105kwh/㎡×900 kwp)=0.952
つまり、PR値は95.2%となります。
なお、PR値は100%に近づけば近づくほど理想的な発電量と言えますが、さまざまな条件により電力ロスが発生するため、実際にPR値が100%になることはまずあり得ません。
PR値を使う場面
PR値を使う主な場面は、年間のPR値の推移を月単位など定期的に確認し、パネル出力が変化する原因を突き止めるときです。
天気を含め日々のコンディションには変化があります。また天候の影響以外の要因として考えられるのは、塵やホコリが積もるなど微少なものです。そのため、毎日のPR値の変化を気にすることは現実的とは言えません。
しかし定期的に統計を取り、それを長期間継続することで、発電量が低下した場合にそのタイミングを知ることができます。その時の天候や状況などとあわせて分析すれば、パネル出力が低下した原因を解明する手がかりになります。
PR値を活用するメリット
PR値を活用するメリットを2点紹介します。
- 発電量の低下原因がわかる
- 売電量の安定化
それぞれ順番に解説します。
発電量の低下原因がわかる
PR値活用メリットの1つめは、発電量が低下した原因を把握できることです。まず毎月のPR値を確認し、その数値が低い月に着目しましょう。PR値が低かった月にどんな事象が発生したか確認することで、低下の原因を推測することができます。
また、あわせて低かった月以外に問題があるかどうかも確認しましょう。他の月にも同じように電力低下が見られるようであれば、パワーコンディショナやモジュールなど、機器の故障が原因である可能性が高くなります。
また年間を通じて一部の月だけPR値が低下している場合は、以下のような現象があったかどうかを確認することで、原因の糸口が探れるかもしれません。
- 長期間の天候不良の影響
- 影や遮光の影響
天候不良については、雪や台風、ゲリラ豪雨などが発生したかを確認しましょう。短期間であれば問題ありませんが、長期間にわたっての天候不良は、PR値低下につながります。
また、太陽は季節により日照時間や動きが変わります。それにより、周囲の木や建物などが影をつくり、太陽光パネルに影響を与えていることでPR値が低下していることも考えられます。もし毎年同じ月に発電量が低下しているのであれば、太陽の影響が大きいかもしれません。
売電量の安定化
PR値活用メリットの2つめは、売電量の安定化につながることです。
発電量の低下原因を突き止めることで、導入当初の発電シミュレーションとの乖離を避けることが可能です。また原因に対して迅速に対応すれば、発電量を安定させられる可能性が高くなります。
売電量安定化のために、PR値の推移をチェックするとともに定期的な点検とメンテナンスは欠かさず行いましょう。
太陽光発電のPR値は分析とメンテナンスが大切
太陽光発電のPR値安定のためには、分析とメンテナンスが大切です。太陽光発電は以下の条件で発電量が大きく変わります。
- 季節による日照時間の変化
- 時間帯による発電量の変化
- 天候による発電量の変化
例えば、季節でいうと一般に5月が一番効率よく発電できます。日照時間は8月が一番長いですが、太陽光発電には気温が高すぎると発電効率が悪くなるという特徴があります。5月は日照時間と気温のバランスが良いため、発電量が多い傾向があります。
時間帯で見ると、発電量が多いのは正午12時前後です。11~13時で1日の約4割発電すると言われています。
もちろん、直接光が当たる晴天時が「直接日射量」が多くなりますが、曇りや雨であっても大気中に充満している間接的な日射である「散乱日射量」があるので、発電は行われます。ただし、あまりに雲が厚いときは発電量がゼロになることも考えられます。
PR値を分析して活用すれば、季節や時間帯、天候などの条件の違いがどのように発電量に影響するのかを知ることができるでしょう。
また、太陽光発電の発電量を安定させるためにはメンテナンスが必須です。太陽光パネルを常にベストな状態にしておかないと十分な効果を発揮できず、発電量は減ってしまいます。定期的に点検とメンテナンスを行うことで、パワーコンディショナなど機材の不調もチェックできるだけでなく、パネルの汚れや影の様子も確認できるでしょう。
トラブルの発生は将来的に大きな損失となってしまう可能性が高まります。そのようなトラブルを避けるためにも、メンテナンスはしっかり実施するようにしてください。