太陽光発電の発電効率・変換効率とは?計算方法や効率低下の原因・上げる方法を紹介
目次
太陽光発電の発電効率は20%程度が一般的とされていますが、実際に使用する際の発電効率は個々の環境や条件によって異なります。
太陽電池の発電効率はどれくらいが目安なのか、発電効率を高めるにはどうすればいいのか、気になっている方もいるかもしれません。高い発電効率を維持するためには、導入の際の設置条件や導入後のメンテナンスが重要となります。
この記事では、太陽光発電の発電効率の目安、発電効率が悪くなる時の原因、効率を高める方法等を紹介します。
太陽光発電の効率とは?
太陽光発電の効率には、発電効率と変換効率があります。発電効率とは、「太陽光から電力に変換される割合」を示し、20%が目安となります。
一方、変換効率は、「太陽光パネルが太陽光を電気エネルギーにどれくらい有効に変換できるか」を示します。太陽電池の変換効率としては、「モジュール変換効率」 と「セル変換効率」 2種類があります。
以下で、他の再生可能エネルギーとの発電効率の比較や、モジュール変換効率・セル変換効率についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
太陽電池の発電効率を他の再エネと比較
太陽光発電と他の再生可能エネルギーの一般的な発電効率はそれぞれ次のとおりです。
発電の種類 | 発電効率 | 発電方法の概要 |
---|---|---|
太陽光発電 | 約20% | 太陽光が持つエネルギーから直接電気をつくる、太陽電池を利用した発電方法 |
風力発電 | 約40% | 風のエネルギーにより風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて発電する方法 |
水力発電 | 約80% | 高い所に貯めた水を低い所に落とすことで水車を回して発電する方法 |
バイオマス発電 | 約20% | 生物資源を直接燃焼したり、ガス化したりして発電する方法 |
地熱発電 | 約10% | 地中から取り出した蒸気でタービンを回して発電する方法 |
再生可能エネルギーには、太陽光発電の他に風力発電、水力発電、バイオマス発電等があり、水力発電が特に高い発電効率を誇ります。太陽光発電の発電効率は約20%程度で、比較的低いです。
太陽光発電のモジュール変換効率
モジュール変換効率は、太陽光パネル(モジュール)1枚の全体の変換効率です。
モジュール変換効率の計算式
公称最大出力は、JIS規格で規定された一定の条件下(放射照度1,000W/m2、モジュール温度25℃)での出力のことです。放射照度は、標準試験条件での放射エネルギーの強さのことで、通常は1,000W/m²とされます。
1,000W/ m2の放射照度でモジュールに照射された光エネルギーのうち、どれくらいの割合が電気エネルギーに変換されるかを計算して、モジュールでの変換効率を算出します。
太陽光発電のセル変換効率
セル変換効率は、太陽光パネル(モジュール)を構成しているセル1枚の変換効率です。
セル変換効率の計算式
1,000W/ m2の放射照度でセルに照射された光エネルギーのうち、どれくらいの割合が電気エネルギーに変換されるかを計算して、セル1枚あたりの変換効率を算出します。
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太陽光発電の発電効率が悪くなる原因は?
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太陽光発電の発電効率が悪くなる原因は、主に以下の4つが挙げられます。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
- ●天候による日射量の少なさ
- ●気温上昇による表面温度の上昇
- ●メンテナンス不足
- ●経年劣化
天候による日射量の少なさ
天候は、太陽光発電で発電効率を左右する大きな要因のひとつです。くもりや雨等で日射量が減少すると、発電量は少なくなります。特に冬場はくもりが多く日照時間も短いため、発電量が少なくなる傾向です。
気温上昇による表面温度の上昇
気温が高くなると太陽光パネルの表面温度が上がり、発電効率は低下します。一般的に太陽光発電の発電効率は25℃から1℃上がるごとに、約0.4~0.5%ほど下がると言われています。
夏場は日照時間が長くなりますが、一方で気温の問題で発電効率が下がる時間帯があります。このことが、単純な日照時間の増加ほどは発電量が増えない理由です。
メンテナンス不足
太陽光パネルの表面に汚れがあると、太陽光発電の発電効率は低下します。表面の汚れは、鳥のフン、砂や埃、枯れ葉、花粉等の例が挙げられます。こまめに掃除をして汚れを除去することで、発電効率の低下を防ぐことが可能です。
パネルの破損、内部の不具合等で発電効率が低下するケースもあります。早期に異常を発見するためには、日常的に外観や発電量をチェックするとともに、専門業者に依頼して定期的な点検を実施することが重要です。
経年劣化
太陽光パネルの発電効率は、経年劣化でも少しずつ低下します。発電量の低下やその他の経年劣化による不具合を考慮すると、太陽光パネルの寿命は20~30年程度が目安とされています。
経年劣化を少しでも抑えるためには、前述のような日頃のメンテナンスが重要です。太陽光パネルの寿命については以下の記事で紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。
太陽光発電の発電効率を高める方法
太陽光発電の発電効率を高める方法としては、以下が挙げられます。設置の条件、パネルの選定、導入後のメンテナンス等が重要です。
- ●適切な場所・向きで設置する
- ●発電効率の高いパネルを選ぶ
- ●こまめに清掃・点検を実施する
適切な場所・向きで設置する
太陽光パネルの発電効率を高めるためには、日照量の多い場所に適切な方位・角度で設置することが重要です。方位は南向き、角度は30度で設置するのが理想とされています。
方位・角度だけでなく、気温、汚れ等の条件でも発電効率は変化します。このため、設置後の環境を想定して場所を選ぶことが重要です。気温が高くなりすぎる場所や、落ち葉に覆われたり、砂埃がかかったりするような場所を避けて設置しましょう。
発電効率の高いパネルを選ぶ
導入前であれば、発電効率の高い太陽光パネルを選ぶ 方法もあります。
太陽光パネル自体の性能も製品によって異なります。予算と相談しながら性能の高いものを選ぶことで、導入後の発電量を増やすことができます。
こまめに清掃・点検を実施する
清掃をこまめに実施することで、汚れ等による発電効率の低下を防ぐことができます。清掃の際にあわせて外観を確認すれば、早期に破損等も見つけやすくなります。
また、日々の発電量からも異常が発見できるので、発電量はこまめにチェックしておきましょう。急に発電量が落ち込んで戻らなくなった場合は、不具合が疑われます。
その他、異常をいち早く発見するには、専門業者に依頼して定期的な点検を実施することも重要です。早期に破損や不具合に対応できれば、発電効率の低下を短期間で抑えることが可能です。
太陽光発電はメンテナンスまで見込んで導入しよう
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太陽光発電の発電効率を高めるためには、こまめな掃除・外観確認や、専門業者による定期的な点検等、設置後のメンテナンスが重要です。企業として太陽光発電を導入する際は、日常的なメンテナンスが実施できる体制を十分に整えることを念頭に置いて、運用を開始する必要があります。
「自社でメンテナンスするのは手間がかかる」、「専門性が必要で不安がある」と感じる場合は、PPAモデルの太陽光発電を検討してみるのがおすすめです。
PPAは、エネルギーサービス事業者と契約して太陽光発電設備を設置してもらう導入方法です。自社で保有する場合とは異なり、需要家が設備を購入・所有・管理する必要がなく、メンテナンスも事業者が実施するため、費用や手間がかかりません。
「導入後の費用や手間を減らしたい」、「初期費用を抑えたい」と考えている場合には、PPAモデルでの太陽光発電導入がおすすめです。