接地の基準等

 

 

 

 

 

電気設備の技術基準の解釈

※本項目の内容は、経済産業省による電気設備技術基準の解釈(20230310保局第2号 令和5年3月20日付け)のうち、接地工事に関する条文を抜粋または編集・加工して作成したものです。

電気設備に関する技術基準を定める省令に定める技術的要件を満たすものと認められる技術的内容をできるだけ具体的に示したものである。

省令に定める技術的要件を満たすものと認められる技術的内容はこの解釈に限定されるものではなく、省令に照らして十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があれば、省令に適合するものと判断する。

この解釈において、性能を規定しているものと規格を規定しているものとを併記して記載しているものは、いずれかの要件を満たすことにより、省令を満足する。

 

第17条 接地工事の種類及び施設方法(省令第11条)

1.接地抵抗値と接地線の太さ

接地工事の種類 接地抵抗値 接地線太さ
(軟銅線の場合)
A種接地工事 10Ω以下 直径2.6mm以上
B種接地工事 (150※1/Ig)Ω以下

Igは変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流(単位:A)
※ただし、5Ω未満であることを要しない(第24条)

直径2.6mm以上
C種接地工事 10Ω※2以下 直径1.6mm以上
D種接地工事 100Ω※2以下 直径1.6mm以上

※1 1秒を超え2秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を設置する場合は300、1秒以内の場合は600。
※2 低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは500Ω。

<関連リンク>
・接地の種別 | A種 B種 C種 D種
・接地抵抗と大地抵抗率の関係

2.施設方法

接地工事の種類 施設方法(人が触れる恐れがある場所に施設する場合)
A種接地工事
  • 地下75cm以上の深さに埋設すること
  • 接地極を鉄柱その他の金属体に近接して施設する場合は、底面から30cm以上の深さに埋設するものを除き、側面から1m以上離して埋設すること
  • 接地線の地表上60cmまでの部分には、絶縁電線(屋外用ビニル電線を除く)又は通信用ケーブル以外のケーブルを使用すること
  • 接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分には、合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと
  • 接地線は、避雷針用地線を施設してある支持物に施設しないこと
B種接地工事
C種接地工事 規定なし
D種接地工事
A種接地工事、B種接地工事の施工例

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第18条 工作物の金属体を利用した接地工事(省令第11条)

構造 条件 共用接地極として利用できる接地工事の種類
鉄骨造

鉄骨鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造

  • 建物の鉄骨又は鉄筋コンクリートの一部を地中に埋設する
  • 等電位ボンディングを施す

(A種接地工事、B種接地工事の接地極として使用する場合は、更に次の号)

  • 特別高圧又は高圧の機械器具の金属製外箱に施す接地工事の接地線に1線地絡電流が流れた場合において、以下の部分に50Vを超える接触電圧が発生しないこと
    ①建物の柱、梁、床、壁等の構造物の導電性部分間

    ②接地工事を施した設備の金属製部分間又はこれらの金属製部分と建物の柱、梁、床、壁等の構造物の導電性部分間
    ③当該建物の金属製部分と大地との間又は当該建物及び隣接する建物の外壁の金属製部分間

A種接地工事

B種接地工事

C種接地工事

D種接地工事

建物の鉄骨その他の金属体 2Ω以下 非接地式高圧電路に関係するA種接地工事、B種接地工事

 

第24条 高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設(省令第12条第1項)

1.B種接地工事の施設箇所と接地抵抗値

接地工事の種類 施設箇所 接地抵抗値
B種接地工事 低圧側の中性点 第17条の計算結果に関わらず、5Ω未満であることを要しない。
低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子
低圧電路が非接地である場合においては、高圧巻線又は特別高圧巻線と低圧巻線との間に設けた金属製の混触防止板

2.接地工事の施設方法

施設箇所 施設方法
低圧側の中性点 (1)接地工事は変圧器の施設箇所ごとに施すこと

(2)土地の状況により、その直下で規定の接地抵抗値が得られない場合は、変圧器から200m以内の箇所まで接地線を施設して接地工事を施すこと(図a)
接地線は次のいずれかに適合すること

①引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用した架空接地線を低圧架空電線の規定に準じて施設する
②地中接地線を地中電線の規定に準じて施設する

(3)土地の状況により多数の変圧器の施設箇所にそれぞれの接地工事を施すことが経済的に困難な場合は、共同地線を設けて接地工事を2以上の変圧器の施設箇所で共用しても良いこととし、施設方法は次によること

①架空共同地線は、引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用し、低圧架空電線の規定に準じて施設する
②地中共同地線は、地中電線の規定に準じて施設する
③接地工事は、各変圧器を中心とする200m地域内の両側に施すこと。ただし、変圧器直下に接地工事を施した場合はこの限りでない(図b)
④共同地線と大地との間の合成電気抵抗値は、直径1km以内の地域ごとに規定するB種接地工事の接地抵抗値以下であること(図c)
⑤各接地箇所の接地抵抗値は、接地線を共同地線から切り離した場合において、300Ω以下であること

(4)変圧器が中性点接地式高圧電線路と低圧電路とを結合するものである場合において、土地の状況により、(1)から(3)までの規定により難いときは、次により共同地線を設けて、2以上の施設箇所に共通のB種接地工事を施すこと

①共同地線は(3)の①又は②によること
②接地工事は(3)の③によること
③同一支持物に高圧架空電線と低圧架空電線とが施設されている部分においては、接地箇所相互間の距離は、電線路沿いに300m以内であること
④共同地線と大地との間の合成電気抵抗値は、規定するB種接地工事の接地抵抗値以下であること
⑤各接地箇所の接地抵抗値は、接地線を共同地線から切り離した場合において、次の式により計算した値(300Ωを超える場合は、300Ω)以下であること

R =150n/Ig
R は、接地線と大地との間の電気抵抗(単位:Ω)
Ig は、1線地絡電流(単位:A)
n は、接地箇所数

低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子
図a 変圧器から200m以内に接地工事を施す
図b 共同地線を設ける場合は変圧器を中心とする200m地域内の両側に接地工事を施す
図c 共同地線を設ける場合の合成接地抵抗値で既定値を保つ範囲

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第37条 避雷器等の施設(省令第49条)

3 高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には、A種接地工事を施すこと。ただし、高圧架空電線路に施設する避雷器(第1項の規定により施設するものを除く。)のA種接地工事を日本電気技術規格委員会規格 JESC E2018(2015)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗値は、第17条第1項第一号の規定によらないことができる。

 

使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈(経済産業省)

※本項目の内容は、経済産業省による使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈(一部改正 20210326保局第1号 令和3年3月31日)のうち、接地抵抗測定に関する条文を抜粋または編集・加工して作成したものです。

電気事業法施行規則(平成7年通商産業省令第77号)第73条の4に規定する使用前自主検査及び規則第76条に規定する使用前自己確認の方法の解釈を記載している。 なお、使用前自主検査及び使用前自己確認の方法は、この解釈に限定されるものではなく、十分な保安水準の確保が達成できる技術的根拠があれば、規則に適合すると判断することとされている。

 

接地抵抗測定の検査方法

対象 接地方式 測定方法 判定
水力発電所
火力発電所
燃料電池発電所
太陽電池発電所
風力発電所
変電所
需要設備
機器ごとに接地する「単独接地」 直読式接地抵抗計による測定 接地抵抗値が電技解釈第17条又は第24条第1項第2号で規定された値以下であること
いくつかの接地箇所を連絡して接地する「連接接地」 直読式接地抵抗計による測定
接地線を網状に埋設し、各交点で連接する「網状(メッシュ)接地」 電圧降下法による測定

 

国土交通省基準類

建築設備設計基準 官庁施設に必要な品質・性能を確保するため、建築設備の実施設計に関する標準的な手法を定めたものである。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編) 建築物の品質確保、施工の合理化等のために、官庁施設等の新築工事に使用される材料・機材・工法・試験等について標準的な仕様を示したものである。

 

 

民間規格

内線規程(一般財団法人 日本電気協会) 電気需要場所における電気設備の保安を確保することを目的として作成されたもので、設計、施工についての技術的な事項をすべて包含し記述した民間規格である。
高圧受電設備規程(一般財団法人 日本電気協会) 高圧受電設備の設計、施工、維持及び管理に関する技術的事項を具体的かつ詳細に規定した民間規格である。

※共用・連接接地に関する記述あり。

発変電規程(一般財団法人 日本電気協会) 電気工作物の自主的な保安体制を確立するために定められた民間規格であり、法律に基づく「電気設備技術基準」をはじめ、発変電所並びに自家用受電設備の設計上考慮すべき事項、建設及び保守上必要な事項を定めたものである。

※広い面積にわたる網状(メッシュ)接地の接地抵抗測定方法として用いられる”電圧降下法による測定”を記載している。

接地の種別と接地抵抗値

接地を行う目的はさまざまですが、その目的によって取るべき接地抵抗値が規定されています。接地にはこちらにも記載した通り、保安用接地、機能用接地、雷保護用接地の3種類がありますが、保安用接地はどのような電力線に使用するかによってさらに4つの種別に分けられます。

A種:高圧用の電気機械器具の金属製外箱、避雷器などに施す接地工事。高圧機器による感電等の災害防止用の接地工事。

B種:高圧と低圧を変成する変圧器の低圧側1線に施す接地工事。

C種:300Vを超える低圧電気機械器具の金属製外箱や金属管などに施す接地工事。

D種:300V以下の低圧電気機械器具や金属製外箱および金属管などに施す接地工事。

こうした種別によって、取るべき接地抵抗値の上限も異なります。表に、接地種別と接地抵抗値を示します。

表 接地種別と接地抵抗値

用途 種別 接地抵抗値 法規等
電力 A種 10 [Ω] 以下 電気設備技術基準の解釈
電力 B種 150/I* [Ω] 以下 (注1) 電気設備技術基準の解釈
電力 C種 10 [Ω] 以下(注2) 電気設備技術基準の解釈
電力 D種 100 [Ω] 以下(注2) 電気設備技術基準の解釈

* I は地絡電流

注1:1秒を超え2秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を設置する場合は300/I[Ω]以下、1秒以内の場合は600/I[Ω]以下
注2:低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に電路を自動的に遮断する装置を施設するときは500[Ω]以下

なお、機能用接地および雷保護用接地については接地抵抗値の規定はありませんが、接地抵抗値を可能な限り低く抑えることを目的にA種接地(10Ω以下)が採用されることが多いです。

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