60歳再雇用後の給与相場は40-50%減額の370万円程度
60代になると再雇用で働く選択肢がありますが、給与が下がってしまわないか不安ですよね。セカンドキャリアを検討するためにも、給与相場を把握しておくことをおすすめします。
今回は、60代再雇用後の給与相場をおさらいしつつ、パート・フリーランスの年収相場についても解説します。悔いのない選択をするために必要なライフプランとマネープランにも触れているので、あわせてチェックしてみてください。
60代になって再雇用で働こうか迷っています。やはり給与は下がってしまうでしょうか。
定年後の再雇用では2人に1人が年収が半分になったことを示す調査結果もあり、給与が低下する事態は想定しておいたほうがよいです。フリーランスであれば自分のスキルに応じて年収を高められます。年収の低下が気になるのであれば、再雇用だけでなくフリーランスの働き方も視野に入れてライフプランとマネープランを計画しましょう。
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結論
近年の調査によると、再雇用されても年収が大幅に低くなってしまう傾向が読み取れます。
再雇用以外にパートやフリーランスとして働く手段もありますが、深く考えずに選んでしまうとやりがいが不足したり、準備が間に合わなかったりすることもあり得ます。
悔いのない選択をするためにも、ライフプランとマネープランを深く練っておきましょう。
60歳から再雇用される場合の給与相場
2020年3月の「高年齢者の雇用に関する調査」によると、60代前半の継続雇用者(フルタイム)の平均年収は374.7万円です。
「300万~400万円未満」が32.3%、「400~500万円未満」が20.4%、「200~300万円未満」が16.5%でした。「200~300万円未満」になってしまう方が少なからず存在しているとわかります。
2021年1月のパーソル総合研究所の調査によると、定年後の再雇用による年収の変化について、2人に1人は年収が半分以下になったことも判明しました。
収入が激減する恐れがあるため、再雇用されても安心できないのが実情だといえるでしょう。
参照元:
高年齢者の雇用に関する調査”.労働政策研究・研修機構.
シニア人材の就業実態や就業意識に関する調査”.パーソル総合研究所.
60代前半の給与相場を再雇用(転職)・パート・フリーランスで比較
60歳前半の給与相場について再雇用(転職)・パート・フリーランスの場合で比較してみます。
再雇用(転職)の給与相場
給与所得者を対象とした調査である「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、60歳~64歳の平均年収は415万円となっています。感覚としては、新入社員の年収よりは高い金額だといえるでしょう。
令和2年分 民間給与実態統計調査 ”.国税庁長官官房企画課.
パートの給与相場
60歳以降のパートタイム・アルバイトの時給相場は、地域別最低賃金が目安となるといわれています
東京であれば最低賃金が1,072円(令和5年時点)です。週5日の8時間勤務であれば、月収は18万円程度であり、年収は約215万円になります。すでに紹介した再雇用後の平均年収よりはかなり低いといえるでしょう。
参考:
東京都の最低賃金は令和4年10月1日より1,072円になりましたフリーランスの給与相場”.台東区.2023年3月1日.
フリーランスの給与相場
フリーランス白書2023では、高齢者の給与相場は確認できませんでしたが、フリーランスの年収は「200万円未満(19.5%)」「200万円~400万円未満(27.9%)」「400万円~600万円未満(20.9%)」という結果が公表されています。すでにお伝えしたパートの年収約210万円や再雇用時の平均年収約370万円と比較すると、能力によってはより高い報酬が得られる可能性があるように見えます。
しかしながら、今まで会社員が未経験だったフリーランスとして再雇用時の平均年収約370万円を定年後の翌日から即稼げるようになるのは難しいので、それまでの期間は今までの貯蓄などを使って生活費を補う必要があることを考慮する必要があります。
当スクールでは可能であれば50代のうちから副業を始めてフリーランスとしての経験を積み、定年時にフリーランスとして年に100万円以上稼げるようになっていることが理想であると生徒様にはお伝えしています。
60代前半の収入不足を補う方法
60代前半では、働き方によっては収入が極端に下がってしまう恐れもあります。60代前半で収入不足を補う方法も確認しておきましょう。
給付金制度を活用する
高年齢雇用継続基本給付という制度では、60歳以降の賃金が60歳時点と比較して75%未満に低下して働き続ける場合、65歳に達する月まで給付金を受給できます。収入不足を補うのに給付金制度を活用しない手はないでしょう。
50代のうちから副業を始める
近年はインターネットを通して業務委託の案件に応募できる時代です。文章力やプログラミングなど得意なスキルがあれば、副業未経験でも月1~5万円程度稼げる可能性があります。50代のうちから副業を始めておくと安心です。
50代のうちから貯蓄をしておく
収入不足を補うには50代からの貯蓄も重要です。不要なサブスクを解約して固定費を減らしたり、不用品をフリマアプリで売却したりするなど、手段はさまざまあります。できることを探して少しでも貯蓄を増やしておきましょう。
セカンドキャリアの設計にはライフプランとマネープランが必須
定年後の働き方は、再雇用やパート、フリーランスなどを選択できますが、漠然と選んでしまえばやりがいを見出せなかったり、収入不足に陥ったりしてしまう恐れがあります。余生を活き活きと過ごすには、給与相場を把握したうえで、セカンドキャリアを描くことも重要です。
そのために必須となるライフプランとマネープランについて考えるべきことをチェックしてみましょう。
考えるべきライフプラン1:死ぬまでにやりたいことは?
死ぬまでにやりたいことを明確にすることが重要です。たとえば、海外旅行が思い浮かんだとしましょう。本格的に現地を楽しみたいのであれば、語学や文化を学ぶ必要があります。後回しにしてしまうと、気力が衰えて実現させられなくなるリスクが高まります。
死ぬまでにやりたいこと、介護などのライフイベントを「仕事」「家族」「趣味」の3つの軸で50代からリストアップしておきましょう。
考えるべきライフプラン2:どのような仕事に挑戦したいか?
定年後にやりがいを感じて働けるよう、挑戦してみたい仕事を考えてみましょう。再雇用で今と同じ仕事を続ける必要もありません。気持ちをリセットして、純粋に好きな仕事を思い浮かべてみてください。思い浮かんだ仕事をイメージすれば、定年後に必要なスキルもわかってきます。
スムーズに働けるよう、50代からスキルの習得を目指してみてください。
押さえるべきマネーポイント1:年金が出るまでの5年間をどうする?
年金を受給できるのは65歳からなので、それまでの5年間について収入を安定させる手段を検討しなければなりません。60歳から支給される退職金を切り崩すこともできますが、精神的に苦しい思いをする方もいるでしょう。
再雇用やパートであればそのままスムーズに仕事を継続できますが、フリーランスとして働くには準備が必要です。可能であれば50代から副業を始めておき、まずは月5万円を稼げるようになっておくのがオススメです。
押さえるべきマネーポイント2:年金だけで足りるのか?
現役時代のキャリアによって年金の額は異なります。年金額と退職金、定年後の生活費を把握して不足しないかどうか確認しましょう。場合によっては、生活の満足度が下がってしまう恐れがあります。その場合は、65歳以降でも仕事で収入を得る必要があります。
体力が不足すると働きづらくなるので、自宅でできる仕事に目星をつけておくとよいでしょう。
60歳以降の再雇用のキャリア事例
SMBCコンシューマーファイナンスでは、60歳以降になって定年退職者再雇用制度を利用して働き続けている社員の事例が、公式ホームページで紹介されていました。
定年後に人事部に所属して、従業員の支援業務を担当されています。数多くの部署を経験した知見が、従業員の悩みやキャリアプランを聴くのに役立っているとのことです。
自分の経験が仕事に役立っていると実感できるのは、再雇用ならではのメリットだといえます。再雇用は、世間では給与が下がってしまう働き方という見方がありますが、やりがいを感じやすい働き方であることには違いありません。
”多様な働き方支援 インタビュー”.三井住友フィナンシャルグループ.
まとめ
60歳から再雇用されるときの給与相場は、平均年収が374.7万円でした。また、再雇用によって2人に1人の年収が半分になったという調査結果もありました。
再雇用は慣れている仕事を続けられる点が安心かもしれませんが、収入に対して不満を抱いてしまうリスクが高くなります。ただ、パートで働く場合はさらに年収が低くなる恐れがあり、単調作業であればやりがいも減ってしまうでしょう。
60歳からストレスなく自分のやりたいことで生計を立てたいのであれば、フリーランスの働き方も検討してみてください。