今回の内容は、ダイヤル温度計について解説したいと思います。トランスにダイヤル温度計と記載された図面を見たことはないでしょうか。ダイヤル温度計って何?選定方法は?取り付けの決まりはあるのといった疑問について解説していますのでダイヤル温度計について気になった方はぜひ最後まで宜しくお願い致します。
ダイヤル温度計とは
まずダイヤル温度計の用途について解説したいと思います。ダイヤル温度計は下図のように円形の温度指示部と棒状の感温部から成っています。
温度指示部と感温部は導管で接続されているので、キュービクルに変圧器を収納した場合、温度指示部のみを変圧器から外して盤前面に取り付けることもできます。この温度計は次の機能を持っています。
点検としての活用
1) 通常の温度指示…変圧器の日常点検で変圧器の温度を確認します。
受変電設備等に組み込むトランス(変圧器)は稼働状況により機器温度が上昇します。
特に過負荷となるとトランスの定格温度以上になる場合があり故障の原因となるため警報により温度以上が確認できるよう取り付けます。
警報出力としての活用
2) 警報接点…ダイヤル温度計自身にアラームなどは付属していませんが、任意温度にセットできる警報接点を持っていますので、外部にランプやブザーなどを備えることで警報を発することができます。
ダイヤル温度計だけでは設置されている現地に赴き直接目視確認を行うしか点検方法がないため、一時的に温度以上が起きた場合や、異常な温度上昇の際に早急な対応を行うことができません。
ダイヤル温度計を取り付けた場合は、管理室などに警報盤を設けアラームを出せるようにしておく必要があります。
その他
3) 最高指針…オプションで、最高温度の指針をつけることができます。一時的な温度上昇を見分けることができます。
オプションとして最高指針を取り付けることで、ダイヤル温度計本体側でも一時的な温度上昇を確認することが可能になります。
ダイヤル温度計の用途
ダイヤル温度計の主な用途としては、トランス(変圧器)の故障対策になります。負荷の稼働率上昇に伴い機器本体の温度が上昇していきますが、トランスのみでは、温度上昇を測ることができないため、ダイヤル温度計を取り付けます。
トランスの温度測定方法として下記項目がありますが、施工性・メンテナンス性を考慮した場合ダイヤル温度計が優れているため、一般的にダイヤル温度計の取り付けが検討されています。
棒状温度計(警報を取り出せない)
ダイヤル温度計(警報を取り出せる)
低圧母線の負荷電流(サーマルリレーによる警報を取り出せる
ダイヤル温度計の設定方法
ダイヤル温度計の温度設定値は、任意になりますが設定例を下記に示します。
トランス(変圧器)設置場所の周囲温度(許容値)にトランスの許容温度上昇値を足した値が、変圧器の許容温度となり許容温度以上にならないようダイヤル温度計の警報出力温度を設定します。
油入変圧器の温度上昇
変圧器の許容温度は周囲温度+変圧器の許容温度上昇値となります。
(許容周囲温度)+(変圧器の許容温度上昇値)
=40+55=95°C
となり95℃が変圧器の許容温度上昇値となります。この温度を超えないよう、ダイヤル温度計の設定を行い警報出力が出せるようにします。
ダイヤル温度計の設定を~85℃等に設定し
変圧器の温度上昇時に警報信号を取り出すことができます。
まとめ
ダイヤル温度計は主に変圧器の過負荷による温度上昇防止のために設置します
設置の義務はなく、工場、病院、老健などの主要施設や負荷の変動が大きい施設に利用します
比較的高価なものになりますので、設置の有無は協議を行い決めるようにしましょう