今回は、電圧降下計算に利用される簡略計算式の係数『k』の根拠について解説したいと思います。計算式は知っているけど、係数の根拠は知らないといった方や数値についてちょっと気になったといった方は、ぜひ最後までご覧ください。それではよろしくお願いします。
「簡易計算式」の数値の根拠ってなに?
「簡易計算式」にて使用される「k」の値の根拠はご存知でしょうか
ケーブルの電圧降下計算において簡略計算式(直流式)の計算式は下記になります。
(1)簡略計算式(直流式)計算方法
計算式e=kL×I1000×A
kの値
直流2線、1相2線 35.6
3相3線 30.8
1相3線、3相4線 17.8
今回はこの数値にて解説したいと思います。
「簡易計算式」の「k」の求め方
「簡易計算式」の「k」を定めるための条件は下記になります。
抵抗率:1/58(Ω㎟/m)
導電率:97%
銅線の温度:20°C
配電方式ごとの算出
1相3線式、3相4線式の場合
1/58(抵抗率)×100/97(伝導率)
=0.01777
≒0.0178
1相3線式、3相4線式の場合の電圧降下は電線1本分の値となる
この抵抗率と伝導率を掛け合わせた値が、定数「k」となる
この式を「簡易計算式」に当てはめると・・・
e=L×I×1/58(抵抗率)×1/A×100/97(伝導率)
≒0.01777×L×I/A
≒17.8×L×I/1000×A
直流2線式、1相2線式の場合
1/58(抵抗率)×100/97(伝導率)×2(本)
=0.03555
≒0.0356
※直流2線式、1相2線式の場合の電圧降下は電線2本分の値となる
この抵抗率と伝導率を掛け合わせた値が、定数「k」となる
この式を「簡易計算式」に当てはめると・・・
e=L×I×1/58(抵抗率)×1/A×100/97×2(伝導率)
≒0.03555×L×I/A
≒30.5×L×I/1000×A
3相3線式の場合
1/58(抵抗率)×100/97(伝導率)×√3
=0.03078
≒0.0308
3相3線式の場合の電圧降下は単相回路の√3倍となる
この抵抗率と伝導率を掛け合わせた値が、定数「k」となる
この式を「簡易計算式」に当てはめると・・・
e=L×I×1/58(抵抗率)×1/A×100/97×√3(伝導率)
≒0.03078×L×I/A
≒17.8×L×I/1000×A
上記計算式より各配線方式の「簡易計算式」が定められています。
配線方式 係数 17.8の
1相3線、3相4線 17.8 ー
3相3線 30.8 √3倍
直流2線、1相2線 35.6 2倍