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高圧ケーブルのサイズってどうやって選定するの?

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  • #774
    管理者A
    キーマスター

    短時間許容電流による選定
    短絡・地絡事故などで瞬時(長くても1~2秒程度)に大電流が流れる場合は、発生した熱量は全て導体の温度上昇にのみ費やされると考えることができます。

    電線・ケーブルの短絡時または地絡時の許容電流は、絶縁体の種類に応じて、簡略計算式を用いることが可能です。この短絡または地絡時の許容電流値が短時間許容電流になります。

    短絡時許容電流の計算式

    A=I√t/134

    A:導体交渉断面積
    I:受電点の短絡電流
    t:短絡電流通電時間(秒)
    ※変電所の過電流継電器の動作時間:0.2秒

    導体:銅 短絡前導体温度:90℃ 短絡時導体温度:230℃の場合

    CVT38㎟の短時間許容電流は…

    38[㎣]=I√0.2/134(0.003337)
    I=38°/0.003337=11.3[kA]

    6kVCV-T 38sq=11.3[kA]

    CVT60㎟の短時間許容電流は…

    60[㎣] I√0.2/134(0.003337)
    I=60°/0.003337=16.2[kA]

    6kVCV-T 60sq=16.3[kA]

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    #776
    管理者A
    キーマスター

    受電点の短絡容量の確認

    次に短絡電流を求めるために受電点の短絡容量を確認する必要があります。

    電柱引込点の最寄りの電柱等に記載されている電柱番号を管轄の電力会社に問い合わせ短絡容量の確認を行いましょう。電柱番号の見分け方については各電力会社のホームページに記載されています。
    電柱番号の確認

    電柱

    管轄の電力会社に問い合わせ
    (短絡容量の聞き取り)
    Eメール

    短絡容量により短絡電流の算出

    〇施工時のトラブルとならないよう引込柱の情報を記載しておくようにしましょう。

    〇〇電力柱
    電柱番号
    短絡容量
    B種接抵抗値

    〇短絡電流の計算式

    I[kA]=短絡容量[MVA]/6.6[kV]×√3
    短絡容量が74MVAの場合(電力会社に確認した値)
    I=74[MVA]/6.6[kV]×√3(10.39)
    =7.12[kA]
    ☆ポイント
    11.3[kA](6.6kV CVT38sqの短時間許容電流)>7.12[kA]

    #777
    管理者A
    キーマスター

    最大負荷電流による選定

    次に最大負荷電流値による選定方法について解説したいと思います。

    短時間許容電流による選定は外部要因『短絡容量』によるケーブルサイズの選定ですが、最大負荷電流による選定は、内部要因『受変電設備』の負荷容量より決定されます。

    高圧ケーブルのサイズ選定を行う際は、この両方の結果を満足する必要があります。

    最大負荷電流値の計算
    最大負荷電流は新築建物の実際の最大負荷電流値は”契約容量”により算出を行います。
    しかしケーブル選定の段階では契約容量が決まっていない場合が多いので、需要家の受変電設備容量より最大電流値の算出を行います。

    契約容量が未確定の場合
    受変電設備の変圧器容量は、実際に使用する建物の負荷容量よりも大きくなるように計画しますので、変圧器容量により求めた負荷電流値が需要家の最大負荷電流値と考え最大負荷電流値を満足できる高圧ケーブルを選定すればよいです。

    変圧器容量による負荷電流値の計算方法
    建物の最大負荷電流はトランス容量によって選定することができます。各トランスごとの電流値を計算し合計したものが建物の最大負荷電流値になります。
    単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
    三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV

    計算例
    単相変圧器 300KVA×2台
    三相変圧器 200kVA×3台

    単相変圧器の電流値を算出
    単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A
    単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A

    三相変圧器の電流値を算出
    3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
    3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
    3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A

    合計すると・・・
    最大負荷電流値=45.5+45.5+17.5+17.5+17.5=126A
    各トランス容量から一次側電流値を計算し合計値を建物の最大負荷電流値と仮定します。

    6.6kV CVTケーブルの許容電流
    6600Ⅴ CVTケーブルの許容電流 周囲温度40℃
    ケーブルサイズ 電流値
    22 sq 120 A
    38 sq 170 A
    60 sq 225 A
    100 sq 310 A
    150 sq 405 A
    200 sq 485 A
    250 sq 560 A
    325 sq 660 A
    400 sq 750 A
    500 sq 855 A
    600 sq 950 A

    空中暗渠周囲温度25°Cの場合、最大負荷電流値【126A】を超える許容電流を持つケーブルサイズは【CVT38sq(170A)】となります。

    #783
    管理者A
    キーマスター

    まとめ

    高圧ケーブルの選定方法

    選定条件

    短時間許容電流
    最大負荷電流

    の2項目ありそれぞれ選定したうちの大きいほうのサイズにて決定します。

    ケーブルサイズ毎の短時間許容電流

    6kVCV-T 38sq=11.3[kA]
    6kVCV-T 60sq=16.3[kA]

    ケーブルサイズ毎の短時間許容電流は上記値となり受電点の短絡電流が11.3[kA]を超えれば60sqとなります。受電点の短絡容量は、管轄の電力会社に問い合わせる必要がありますので、引込点に近接する電柱番号を控えておくようにしましょう。

    最大負荷電流の求め方

    新築建物の契約容量により算出する
    受変電設備の変圧器容量より算出する

    変圧器容量による最大負荷電流の求め方

    単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
    三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV

    契約容量は設計段階で決まっていないことが多いため受変電設備の変圧器容量により求める場合が多くなります。選定の際は各変圧器容量より電流値を求め最大負荷電流値を算出しケーブルサイズを決定するようにしましょう。

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