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PASの選定方法と定格電流の計算方法について

  • このトピックには3件の返信、1人の参加者があり、最後に管理者Aにより2年、 5ヶ月前に更新されました。
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  • #785
    管理者A
    キーマスター

    今回は、PASの選定方法について解説したいと思います。電気設備工事においてPASの設置を行うことがあるかと思います。設計図にPASの仕様が記載されているけど、どういった基準で選定しているの?改修工事の際に、PASの仕様を変更する必要はない?といった疑問について解説しています。

    定格電流の選定
    負荷電流より算出する方法
    受電点の短絡電流により算出する方法
    PASの定格電流は、次の2つの項目より選定する必要が各々の計算結果の電流値が大きいほうに合わせてPASの定格電流を選定します。

    負荷電流の計算方法
    申請建物全体の負荷電流値を算出し負荷電流以上の定格電流値の容量を選定しましょう。
    I={契約電力/(√3×6.6×0.9)}×1.5[A]
    I:負荷電流
    0.9:回路力率
    1.5:負荷の変動率等を考慮した安全係数

    定格電流の計算例
    契約容量500[kVA]の場合・・・
    I={500/(√3×6.6×0.9)}×1.5
     =(500/10.2884)×1.5
     =72.9[A]

    受電点の短絡電流による算出
    受電点の短絡電流は、短絡容量から求める必要があるのですが、受電点の短絡容量は管轄の電力会社に問い合わせる必要があります。
    短絡電流毎の定格電流
    -------------------------------
    受電点の短絡電流[kA](MVA) PAS定格電流[A]
      8未満(100)            200
    8以上12.5以下(160)      300、400
    -------------------------------
    受電点短絡容量を管轄の電力会社問い合わせて確認しましょう。

    受電点の短絡電流による定格電流の求め方
    受電点の短絡電流が
    8[kA]未満の場合       =200[A]
    8以上12.5[kA]以下の場合 =300[A]
    仮に受電点の短絡電流値が9.0[kA]の場合8以上12.5[kA]以下の範囲に該当するため300[A]を選定します。

    上記2つの項目から値の大きいほうをPASの定格電流として選定します
     72.9[A]=200[A]
     9.0[kA]=300[A]
    のため、②の短絡容量より選定した300[A]を定格電流となります。

    #786
    管理者A
    キーマスター

    PAS及び関連機器の選定
    PASには定格電流やLA・VTなどといった関連機器の仕様を選定する必要があります。各項目には選定の基準があり設置条件によって内容が異なってきます。選定方法をよく理解し設置状況にそぐわない仕様のものを選定しないよう注意しましょう。

    PASの仕様
    定格電圧、定格電流
    制御装置の電源の取り方(VT内蔵の要否)
    地絡リレーの方向性の要否
    LA内蔵の要否
    ケースの選定
    設置環境の確認

    PASの定格電圧
    6.6[kV]×1.2/1.1=7.2[kV]
    ※定格電圧の標準値は、常時の系統電圧の変動を考慮し、公称電圧の1.2/1.1倍としている。

    PAS(気中負荷開閉器)の用途
    PASの主な用途は、設置されている需要家側での電気事故が発生した際の波及事故を防ぐ役割があります。
    PASとキュービクル間を接続する高圧ケーブルの地絡・短絡事故はキュービクル側での保護ができないためPASを設置しSOGから信号を受けて回路を遮断します。
    このため電力会社との責任分界点となる場合が多いです。

    • この返信は2年、 5ヶ月前に管理者Aが編集しました。
    #788
    管理者A
    キーマスター

    まとめ

    PASの選定方法

    PASの仕様一覧

    定格電圧、定格電流
    制御装置の電源の取り方(VT内蔵の要否)
    地絡リレーの方向性の要否
    LA内蔵の要否
    ケースの選定
    設置環境の確認

    定格電流の選定

    負荷電流より算出する方法
    受電点の短絡電流により算出する方法

    負荷電流の求め方

    I={契約電力/(√3×6.6×0.9)}×1.5[A]
    I:負荷電流
    0.9:回路力率
    1.5:負荷の変動率等を考慮した安全係数

    受電点の短絡電流による求め方

    8[kA]未満の場合       =200[A]
    8以上12.5[kA]以下の場合 =300[A]

    今回は、PASの規格における定格電圧と定格電流の選定方法について解説しました。

    定格電圧は、6.6[kV]の場合、7.2[kV]と固定ですが、

    定格電流は負荷容量若しくは短絡電流値により変動するので選定には注意が必要です。

    PAS選定の際は、特に定格電流に注意し選定を行うようにしましょう。

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